【食品添加物の種類と安全性】健康を守るために知るべき使用目的3選

食品に含まれる添加物が気になるものの、具体的に何が含まれているのか詳しく知らない人は多いです。食品添加物には多くの種類があり、使用する目的はさまざまです。この記事では、食品添加物の基礎知識や種類、利用目的などについてわかりやすく説明します。

記事を読むと、食品添加物の知識や歴史が理解でき、食品添加物の必要性がわかります

目次

食品添加物の基礎知識

食品添加物とは、食品の品質保持や改善のために使用される化学物質や天然物質のことです。安全性が確認された食品添加物のみ使用が許可されています。食品添加物の使用は各国の法律によって厳しく規制され、食の安全は守られています。

食品添加物の歴史

食品添加物は古代から現代に至るまで、人々の食生活と密接に関連して発展してきました。

食品添加物の歴史は、以下のとおりです。

古代エジプト
食品に塩を添加することで腐敗を防ぎ、長期間保存を可能にしました。
古代ローマ
ハーブや香辛料を活用し、食品の風味を向上させ保存期間を伸ばしています。
中世ヨーロッパ
燻製や塩漬けにすることで肉の長期保存を行いました。
19世紀
科学的な知見が食品保存技術にも応用され、安定した食品保存が可能になりました。
20世紀
合成保存料や着色料などのさまざまな化学添加物が登場します。

食品添加物は時代とともに進化し、現代の食品産業において欠かせない存在です。

食品添加物の種類

食品添加物にはさまざまな種類があり、それぞれが特定の機能を持っています。

食品添加物の種類は、以下のとおりです。

  • 保存料
  • 着色料
  • 香料
  • 増粘剤
  • 甘味料
  • pH調整剤
  • 栄養強化剤
  • 酸化防止剤
  • 発色剤
  • 防カビ剤
  • 乳化剤
  • 膨脹剤

食品の長期保存や見た目や味の改善が可能で、食生活において欠かせない存在です。

保存料

食品の腐敗や微生物の増殖を防ぎ、保存期間を延ばすために使用されます。細菌や酵母、カビの増殖を防ぐことで食品の鮮度を保ちます。加工肉や乳製品、缶詰など利用されている食品はさまざまです。保存料には、化学物質と天然物質があり、食品ごとに適した方法で使用されます。

保存料には、以下のようなものがあります。

  • ソルビン酸
  • 安息香酸
  • 亜硝酸ナトリウム

保存料の種類と使用量は、対象となる食品のpH値や水分活性、脂肪含量に基づいて決められるのが一般的です。食品の安全を保つ上で重要な保存料ですが、過剰な摂取は健康を害するリスクを高めるので注意しましょう。食品製造者は、保存料を安全に使うために、食品添加物の使用基準に従う必要があります。

着色料

着色料は、食品に色を付ける目的で使用されます。魅力的な外観にすると、消費者の購買意欲を高めることが可能です。天然着色料と合成着色料があり、天然着色料はビートレッドやクチナシなど、天然由来のものが原料です。合成着色料は、赤色40号や青色1号など、化学的に合成されています。

着色料の安全性に関しては、それぞれの国で厳しく規制されています。安全が確認されたものに限り、食品への使用が可能です。

香料

香料は食品に香りを付けるために使用されます。香料の種類は、自然の原料から抽出される天然香料と化学的に合成される合成香料の2種類です。スナックや飲料などに利用され、バニラやシトラス、ミントなどさまざまなフレーバーが食品の魅力を引き出します。

欧米では食品用香料への規制が厳しく、安全性が確認されたものに限り使用可能です。

増粘剤

食品の質感を改善し、食品ごとに適切なとろみや粘り気を加えるために使用されます。ゼリーやスープ、ドレッシングなど増粘剤を使用している食品は多いです。増粘剤には、天然由来と合成のものがあります。天然の増粘剤は、アルギン酸やペクチン、ガム類(キサンタンガム、グァーガム)などです。

合成の増粘剤には、セルロースガムやカルボキシメチルセルロースなどが挙げられます。増粘剤の使用により、分離を防ぎ舌触りを滑らかにできます。食品の安定性や品質を向上させることで、消費者にとって魅力的な食品を提供することが可能です。

甘味料

甘味料は、食品に甘さを加えるために使用される食品添加物で、自然由来と合成されたものの2種類があります。自然に存在する甘味料には、砂糖やはちみつなどがあり、昔からさまざまな料理に使われてきました。合成甘味料にはアスパルテームやスクラロースなどがあり、カロリーが低いことが特徴です。

甘味料は、糖尿病患者やダイエットをしている人に人気ですが、過剰な摂取により健康に悪影響を及ぼす可能性があります。合成甘味料を含んだ食品の摂りすぎには注意が必要です。

pH調整剤

pH調整剤は、食品の酸性度やアルカリ度を調整するために使用され、食品の味、質感、色を安定させることに役立ちます。一般的に使用されるpH調整剤は、クエン酸やリン酸、酢酸などです。酸味の抑制や保存性を向上させる効果があり、飲料や缶詰、乳製品など多くの加工食品に広く利用されています。

pH調整剤は食品の品質を保ちつつ、消費者に安全で美味しい食品を提供するために重要です。

栄養強化剤

栄養強化剤は、食品の栄養価を高める目的で使用されます。栄養強化剤には、ビタミン類や鉄、カルシウムなどがあります。

栄養強化剤が使用されている食品の例は、以下のとおりです。

  • 子ども向けの食品
  • 朝食シリアル
  • 乳製品
  • 飲料

栄養強化剤の使用は栄養不足の解消につながり、貧血や骨粗しょう症などの特定の健康問題の予防に役立ちます。

酸化防止剤

酸化防止剤は食品の酸化を防ぐために使われる食品添加物です。色や風味の変化を最小限に抑えるために使用され、主に脂肪や油を多く含む食品に使用されます。

一般的に知られている酸化防止剤は、以下のとおりです。

  • ビタミンC(アスコルビン酸)
  • ビタミンE(トコフェロール)
  • BHA(ブチルヒドロキシアニソール)
  • BHT(ブチルヒドロキシトルエン)

食品の酸敗や変色を防ぐことで、保存期間の延長が可能です。自然由来の酸化防止剤には、ローズマリー抽出物や緑茶抽出物があります。自然成分が含まれた酸化防止剤は、化学物質に敏感な人や自然食品を好む人に人気です。

発色剤

発色剤は、食品を鮮やかな色に保つ役割があります。発色剤は、ソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉に添加されることが多く、見た目に対する満足度を高めるために重要です。亜硝酸塩や硝酸塩は、肉のミオグロビンと反応して鮮やかな赤色を生み出す発色剤です。微生物の成長を抑制し、食中毒を防ぐ効果もあります。

防カビ剤

食品のカビや微生物の増殖を抑制して、長期間新鮮に保つために用いられます。パンやチーズ、ソーセージなどの加工食品に添加されることが多いです。

食品添加物として使用される防カビ剤の例は、以下のとおりです。

  • ソルビン酸
  • プロピオン酸
  • イマザリル

防カビ剤はカビや微生物による食品の劣化を防ぐ以外にも、保存期間の延長により、食品廃棄を減らすことにも貢献しています。使用基準は各国の食品法規によって厳しく規制され、消費者の食生活の安全が守られています。

乳化剤

乳化剤は、水と油を安定して混ぜ合わせるための食品添加物です。ドレッシングやマヨネーズなどの食品に使用されています。乳化剤には、天然由来のものと化学合成されたものがあります。

食品添加物として使用されている乳化剤は、以下のとおりです。

  • レシチン(大豆由来)
  • モノグリセリド
  • ソルビタン脂肪酸エステル

乳化剤の使用により、食品の質感や安定性の向上ができ、多くの食品の製造過程で重宝されています。

膨脹剤

膨脹剤は、食品に含まれる空気の量を増やして食品を膨らませる添加物です。主にパンやケーキなどの焼き菓子に使用され、ふんわりとした食感にする効果があります。膨脹剤は、加熱や水分と反応して二酸化炭素を発生させることで、生地を膨らませます。

膨張剤の例は、以下のとおりです。

  • ベーキングパウダー
  • ベーキングソーダ(重曹)
  • 酵母

ベーキングパウダーは、酸性物質とアルカリ性物質が化学反応して膨張します。酵母を使用した場合、発酵過程で生じた二酸化炭素が生地を押し上げて膨らませます。食品の質や食感を向上させるためには、膨張剤の選び方や使用量などの正しい知識と技術が欠かせません。

食品添加物の利用目的

食品添加物は食品の安全性を保ち、品質を向上させるために重要です。食品添加物の利用は、消費者にとっても大きなメリットがあります。

食品添加物の利用目的は、主に以下の3つです。

  • 食品の栄養価を高める
  • 食品の製造や加工に用いる
  • 食品の風味や外観を良くする

食品の栄養価を高める

食品の栄養価を高める方法として、栄養強化剤の添加が効果的です。添加する栄養強化剤ごとに効果は異なり、それぞれ食品の健康効果を向上させます。

栄養強化剤には、以下のようなものがあります。

  • ビタミン:体の機能を正常に保つ
  • ミネラル:体の機能を調整する
  • 炭水化物:エネルギー源となる
  • たんぱく質:体をつくる
  • 必須アミノ酸:体の調子を整える
  • 脂肪酸:細胞をつくる
  • 鉄分:貧血を防ぐ
  • カルシウム:骨の健康をサポートする
  • 食物繊維:消化機能を改善する

食品の栄養強化により、健康維持に必要な栄養素を効率的に補うことが可能です。食品添加物は、食品の栄養価と価値を高め、私たちの健康をサポートしています。

食品の製造や加工に用いる

食品の製造や加工において、食品添加物は重要です。食品添加物の利用により効率的に大量生産ができるため、製品の品質の一定化が可能になります

食品の製造や加工に用いる食品添加物の役割は、以下のとおりです。

  • 賞味期限を延長させる:保存料
  • 食感を改良する:増粘剤や乳化剤
  • 製造過程を安定化させる:乳化剤や安定剤
  • 色や形を保つ:色素や膨張剤

食品添加物は、品質の向上や効率的な生産、消費者の満足度向上に貢献しています。

食品の風味や外観を良くする

食品添加物は、食品の風味や外観を良くするために利用されます。食品添加物の役割は、食品を美味しそうに見せたり、味の質を向上させたりすることです。

食品の風味や外観を良くする目的で利用される食品添加物の例は、以下のとおりです。

  • 香料:自然な香りを強化または再現し、食欲を刺激する
  • 着色料:食品は色鮮やかにし、視覚的に楽しませる
  • 増粘剤や乳化剤:食品の質感を改善し、口当たりを良くする
  • 甘味料:甘さを調整し、風味の調和を図る
  • 酸化防止剤や発色剤:鮮やかな外観を保つ
  • 色素や膨張剤:製品の色や形を維持する

消費者にとってより魅力的な食品にするため、食品添加物は重要な役割を果たしています。

食品添加物の表示方法と読み方

食品を購入する際、パッケージや値札などに付いている食品表示ラベルを確認することで食品添加物を確認できます。安全な食品を選ぶために、食品添加物の表示方法と見方について解説します

食品表示ラベルにおける添加物の表示方法

安心して食品を選ぶためには、食品表示ラベルに表示される食品添加物の理解が重要です。食品添加物は、食品表示ラベルに記載されている食品添加物表示で確認できます。

日本と外国における食品表示ラベルの違いは、以下のとおりです。

日本の食品表示ラベルの場合
加工食品の場合、添加物欄を設けたり「/」(スラッシュ)で区切ったりして、原材料名と明確に区分して表示されます。食品添加物は、原則として物質名で表示されており、一部の食品添加物に限り、簡略名や類別名などの名称の使用も可能です。
外国の食品表示ラベルの場合
外国の食品表示ラベルでは、使用されている食品添加物を種類別に記載することが一般的です。食品添加物は、欧州連合(EU)で「E番号」と呼ばれるコードで表示されます。「E」の後に続く数字を調べることで、使われている食品添加物の確認が可能です。

表示順序は使用量が多い順に並んでおり、最も多く使用されている食品添加物がリストの最初に記載されます。表示方法を理解することで、含まれている量が多い食品添加物を簡単に把握できます。食品添加物の表示方法は各国で異なるため、外国の食品を購入する場合は表示方法を理解しておきましょう。

食品表示ラベルの読み方

食品表示ラベルを適切に読み取ることで、賢い食品選びができます。

食品表示ラベルに記載されている項目は、以下のとおりです。

  • 名称:食品の一般的な名称を記載
  • 原材料名:使用した重量の割合が多い原材料順に表示
  • 添加物:使用した食品添加物を表示
  • アレルゲン:特定原材料を含む食品の場合、表示が義務
  • 内容量:食品の重量(g)や体積(ml)、個数などの単位で記載
  • 消費期限または賞味期限:食品の鮮度や安全などを確認でき、通常「年・月・日」の順に表記
  • 保存方法:食品の保存方法を記載
  • 製造者等:製造者氏名や製造工場、販売者など食品に責任を持つ者を明記
  • 栄養成分表:エネルギー(熱量)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量などを表示

食品表示ラベルの情報から、含まれる成分や栄養、アレルゲンなどを把握できます。食品アレルギーがある人が安全に食品を選ぶためには、アレルギー情報の確認が欠かせません。賞味期限や消費期限、食品添加物の表示の確認も重要です。表示を見て判断することで、不要な化学物質の摂取を避け、安全な商品を選べます

有機食品や非遺伝子組換えなど、特定の表示がある場合は、製品の品質や生産方法を把握できます。食品表示ラベルの情報をもとに、自分や家族の健康に合った食品を選びましょう。
» 注意する必要がある危険な食品添加物の種類を解説!

食品添加物の安全性と規制

食品添加物の規制は、消費者の安全を守るために重要です。各国の政府や国際機関の多くは、食品添加物の使用前に厳密な安全性評価を行います。食品添加物の安全性と規制について解説するので、食品添加物の安全を判断する際の参考にしてください。

食品添加物の安全性の評価

食品添加物は、科学的試験を経て評価され、安全性が確認された食品添加物のみ使用が可能です。検証内容は食品添加物の毒性や発がん性、遺伝子変異のリスクなどで、主に動物実験や細胞を使ったテストが用いられます。食品添加物の安全性の評価は、最新の科学的知見に基づき厳格に行われます。

新たな科学的情報が得られた際は、1度評価された食品添加物でも再評価が行われる場合があります。食品添加物の安全性の評価により、消費者は安心して食品を楽しむことが可能です。

国際的な安全基準と日本の規制

日本の食品添加物の規制は、国際的な安全基準と国内基準の両方に基づいて定められています。国際食品規格の策定などを行っているのは、WHOとFAOによって設立されたコーデックス委員会という国際機関です。国際的な基準では、食品の安全性保持と公正な国際食品取引を目的としています。

日本では食品衛生法に基づき、厚生労働省が食品添加物の安全性評価と規制を担っています。使用が許可された食品添加物のリストおよび使用基準が定められ、消費者は安心して食品を選ぶことが可能です。日本の規制は、国際的な動向を反映しながら更新されており、国内外の安全性を考慮して管理されています。

まとめ

食品添加物は食品産業において重要な役割を担っています。食品添加物の歴史は古く、時代とともに進化し、現代の食品産業においても欠かせない存在です。

食品添加物の種類は、以下のとおりです。

  • 保存料
  • 着色料
  • 香料
  • 増粘剤
  • 甘味料
  • pH調整剤
  • 栄養強化剤
  • 酸化防止剤
  • 発色剤
  • 防カビ剤
  • 乳化剤
  • 膨脹剤

食品添加物の安全性は、各国で定められた法規制により守られています。食品表示ラベルを読み取ることで、自分や家族の食の安全性をより一層高められます。食品添加物は、食品の品質維持や魅力的な見た目にするために重要です。

食品添加物の種類や利用目的、食品表示ラベルの読み方などを理解し、食品添加物と上手く付き合っていきましょう
» 食品添加物とは?役割や分類、リスクについて解説!
» 食品添加物をやめるとどうなる?生活のメリットを解説!

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