- 食品添加物がやばいって本当?
- 食品に添加物を入れる理由は?
- 食品添加物による健康被害が不安…
「体に悪い」と聞くことも多い食品添加物ですが、私たちの食生活を豊かにする目的で使用され、一定の安全性は認められています。この記事では、食品添加物の種類や役割、リスクについて徹底解説します。
記事を読むことで、食品添加物についての正しい知識を身につけることが可能です。食品添加物の重要な役割やリスクを理解し、健康な食生活を送るための食品選びに役立ててください。
食品添加物とは

食品添加物とは、加工や保存、品質の向上を目的に使用される化学物質や天然物質のことです。味つけに使う調味料も、使用目的により食品添加物に分類されます。日本における食品添加物は、厚生労働大臣が「人の健康を損なうおそれがない」と認めたものに限って使用可能です。
原則として、食品添加物として使用できるものは厚生労働大臣の指定を受けた指定添加物があります。指定添加物のほかに使用できるものは、既存添加物や天然香料、一般飲食物添加物のみです。
食品添加物の分類

食品添加物は4つのカテゴリーに分けられます。食品添加物の分類は、以下のとおりです。
- 指定添加物(476品目)
- 既存添加物(357品目)
- 天然香料(約600品目)
- 一般飲食物添加物(約100品目)
指定添加物
指定添加物は、食品衛生法第12条にもとづき、厚生労働大臣が使用して良いと定めた添加物です。指定添加物は基準に従って使用することが決められ、安全評価は各食品添加物ごとに実施されています。安全性が認められた食品添加物や使用基準については、日本食品科学研究振興財団の公式ホームページで確認可能です。
» 指定添加物リスト(日本食品科学研究振興財団)
» 食品添加物使用基準(日本食品科学研究振興財団)
既存添加物

既存添加物は、例外的に厚生労働省からの指定を受けることなく使用できる食品添加物です。日本において長い間使われてきたことから、一定の安全性が確認されています。既存添加物は、既存添加物名簿で確認できます。既存添加物名簿に記載されるものは、平成7年の食品衛生法により使用実績が確認されたもののみです。
過去に使用されていたものでも、流通実態のなくなったものや健康への影響が懸念されるものなどは適宜削除されます。平成8年度に既存添加物に定められていた品目のうち139品目について、安全性の確認が順次行われています。
» 既存添加物名簿(日本食品科学研究振興財団)
天然香料
天然香料は香りづけのための添加物です。おもな原料は花や草木、果物などで自然界に存在する原材料から抽出・蒸留されます。天然香料は食品や飲料、化粧品などさまざまな製品に利用されていて、私たちの身近な存在です。
天然香料を使用した食品の場合は、食品衛生法第4条に規定する基原物質名または「香料」の文字を表示することが定められています。
» 天然香料基原物質リスト(日本食品科学研究振興財団)
一般飲食物添加物
一般飲食物添加物は「一般に飲食に供されるものを添加物として利用しているもの」です。食品に広く使われる色素や保存料として使用されています。例として、寒天やイチゴジュースなどがあります。
» 一般飲食物添加物(日本食品科学研究振興財団)
» 食品添加物の種類と利用目的、表示方法、読み方を解説!
食品添加物の役割

食品添加物には多くの種類があり、使用目的はさまざまです。おいしさや栄養価を高める役割のほかに、食品の保存性を高めることで食の衛生向上にも役立っています。食品添加物は私たちの食生活に欠かせない便利な存在です。
食品添加物の役割は以下のとおりです。
- 食品の製造や加工に用いる
- 栄養成分を補強・強化する
- 食品の品質を保つ
- し好性を向上させる
食品の製造や加工に用いる
食品の製造や加工における食品添加物は、以下のような用途があります。
- 食品の形を整える
- 成分を均一に混ぜる
- 食品の見た目や風味の改善
- 保存性を高める
食品添加物は、食品の品質と消費者の満足度を高めるために、製造過程で欠かせない要素です。食品の製造や加工に使用されている食品添加物には、以下のようなものがあります。
- 着色料:食品の色合いを鮮やかにする
- 乳化剤:分離を防ぎ、食品の安定性を向上させる
- 防腐剤:食品の保存性を高める
- 増粘剤:食感や安定性を向上させる
- 膨張剤:ケーキなどを膨らませる
- 香料:味や香りを改良する
栄養成分を補強・強化する

食品の栄養成分を補強・強化するために食品添加物が利用されます。栄養成分を加えると、普段の食事から摂取しきれない栄養を効率的に補うことが可能です。栄養成分の補強・強化を目的として添加されるものには、以下のものがあります。
- ビタミン:3大栄養素の代謝をサポート
- 鉄分:貧血予防
- カルシウム:骨の健康を促進
- セルロース:腸の働きを促進
食品の栄養成分を補強・強化することで、健康維持をサポートする役割を果たします。
食品の品質を保つ
食品添加物は食品の品質を維持し、食の安全性を高めるために不可欠です。食品の品質を保つために利用されている食品添加物は、以下のとおりです。
- 酸化防止剤:酸化を防ぎ、保存性を高める
- 防腐剤:食品の腐敗を遅らせる
- 保存料:カビや細菌を抑制し、保存性を高める
- 乳化剤:分離を防ぎ、均一な質感を保つ
- 増粘剤やゲル化剤:食品のテクスチャーを安定させる
食品添加物の使用により、食品の保存期間を長くすることで、食中毒の防止や食品ロスの削減にも貢献しています。
し好性を向上させる

食品添加物は、食品の味のバランスを整えたり、鮮やかな見た目にしたりするためにも利用されます。食品の魅力を高めるためには、見た目や味、香りという要素が重要です。
食品の見た目や味、香りの改良で、し好性が高まり、一層魅力的な商品になります。し好性を向上させるための食品添加物には、以下のものがあります。
- 色素:鮮やかな見た目にする
- 香料:香りを付与・増強する
- 甘味料:食品に甘みを与える
- 酸味料:食品に酸味を与える
- 光沢剤:食品の表面に光沢を与える
- 乳化剤や増粘剤:食感を改善する
食品添加物のリスク

食品添加物には多くの利点がありますが、リスクの考慮も必要です。食品添加物のリスクを把握し、食品を購入するときは食品表示をよく確認しましょう。
食品添加物のリスクは以下のとおりです。
- 安全性が十分に検証されていない可能性がある
- アレルギー物質が入っている可能性がある
- 複合摂取による影響がわかっていない
- 生産者がルールを守っていない可能性がある
安全性が十分に検証されていない可能性がある
食品添加物は一定の安全性は保証されていますが、まだ不透明な部分があることも事実です。実際に過去に使用されていた食品添加物のアカネ色素は、発がん性が確認されて既存添加物名簿から削除されました。アカネ色素およびアカネ色素を含む食品の製造や販売、輸入などは禁止となっています。
現時点で、アカネ色素による人の健康被害は報告されていません。しかし、食品添加物には安全性が不確定のまま食品に使われている可能性があることは、消費者として理解しておくべきです。
アレルギー物質が入っている可能性がある

食品添加物には、アレルギー反応の原因となる物質が含まれている場合があるため、アレルギーのある人は注意が必要です。アレルギーがある人が、アレルギー物質の含まれる食品を摂取すると、健康に害を及ぼす可能性があります。
食品を購入する際は、食品のラベルをしっかり確認して、成分表に記載されている原材料を把握しましょう。重篤なアレルギー反応を引き起こす品目や、症例数の多い品目(特定原材料)は、食品表示基準で表示が義務づけられています。特定原材料は以下の8品目です。
えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、ピーナッツ
過去に一定の頻度で健康危害が見られた20品目については、表示が推奨されています。表示が推奨される20品目(特定原材料に準ずるもの)は、以下のとおりです。
アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・マカダミアナッツ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン
不明な成分が含まれている場合は、アレルギー情報の確認や製造者への直接の問い合わせがおすすめです。
複合摂取による影響がわかっていない
食品添加物が単体で使用される際の安全性は確認されています。しかし、複数の食品添加物を同時に摂取する場合の影響については、はっきりとわかっていないのが現実です。
2006年度、食品安全委員会による情報収集調査が行われ、複合的な影響が出ている事例は見られないという結果となりました。日常摂取している範囲内では、食品添加物の複合摂取による健康被害の可能性は極めて低いと報告されています。
しかし、実証実験は行われていないことも事実であり、複合的な食品添加物の摂取が人間の健康に与える長期的な影響は不透明です。食品添加物に限らず、どのような食品においても言えることですが、取り過ぎれば体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
過度に恐れる必要はありませんが、食品添加物が多く含まれる加工食品などに偏り過ぎず、バランスの良い食生活を心がけましょう。
生産者がルールを守っていない可能性がある

生産者や加工者が適切に食品添加物を利用している限り、健康への影響はありません。しかし、過去には食品添加物が不適切に使用された事例もあります。問題となる生産者側の違反行為は、以下のようなものです。
- 必要以上の食品添加物の使用
- ラベルに記載されていない食品添加物の使用
- 法律で禁止されている食品添加物の使用
- 安全基準を超える量の食品添加物の使用
生産者がルールを守らない場合、消費者の健康に悪影響を及ぼすこともあります。食品の生産や加工に携わる事業者は、食品表示法に基づいた正しい表示をすることが必要です。違反した場合には、重い罰則が科せられます。
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食品添加物の安全性に関する法律

食品安全基本法や食品衛生法は食品の安全を守るために重要です。食品安全基本法と食品衛生法により、食品添加物の使用規定が設けられていることで、消費者は安心して食品を利用できます。
食品添加物の安全性に関する法律は以下のとおりです。
- 食品安全基本法
- 食品衛生法
食品安全基本法
食品安全基本法は、国民の健康を守ることを目的に制定されました。食品の安全性の確保を主な目的としており、厚生労働省や農林水産省などにルールの決定と監視責任が課せられています。新たに指定される食品添加物は承認制度を経て、安全性が確認されたもののみ使用が許可されます。
食品関連事業者は、食品を供給する各段階において、食品の安全性の確保が必要です。食品安全基本法は、食品を取り巻く環境全体の安全を保障するための重要な役割を果たしています。
食品衛生法
食品衛生法では、食品添加物の使用基準や安全性評価が規定されています。食品衛生法にもとづき「人の健康を損なうおそれがない」と定められたものを除き、原則として製造や輸入、販売などはできません。食品衛生法において制定されている基準には、以下のようなものがあります。
- 食品の製造基準
- 食品添加物の使用基準
- 食品添加物の表示基準
使用できる食品添加物や成分の規格、使用量の上限などの基準が定められています。食品添加物を表示することも義務です。食品衛生法は、消費者が安全な食生活を送るために重要な役割を果たしています。
» 注意する必要がある危険な食品添加物の種類を解説!
まとめ

食品添加物は、原則として厚生労働大臣から「人の健康を損なうおそれがない」と定められた指定添加物のみ使用可能です。指定添加物のほかに使用できるものには、既存添加物や天然香料、一般飲食物添加物があります。食品添加物の役割は、以下のとおりです。
- 食品の製造や加工に用いる
- 栄養成分を補強・強化する
- 食品の品質を保つ
- し好性を向上させる
食品添加物の使用で、食品の味の改良や保存期間を長くすることが可能です。メリットも多く、食品の私たちの食生活を支える食品添加物ですが、リスクも理解しておく必要があります。消費者も知っておくべきリスクは、以下のとおりです。
- 安全性が十分に検証されていない可能性がある
- アレルギー物質が入っている可能性がある
- 複合摂取による影響がわかっていない
- 生産者がルールを守っていない可能性がある
食品添加物を過度に避ける必要はありませんが、加工食品に偏った食事は控え、バランスの取れた食生活を心がけましょう。アレルギーが心配な人は食品表示をよく確認することが大切です。食品添加物の安全性については、不安を煽る情報も多く見られますが、厚生労働省など信頼できる機関から情報を収集しましょう。
食の安全は、食品安全基本法や食品衛生法によって管理され、私たちの健康を守っています。食品添加物の役割やリスクを正しく理解して、日々の食品選びや健康的な食生活を楽しみましょう。
» オーガニックの4つの原則を解説
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